いじめ問題。子どもの自殺が増えている

学校・教育

悲しいことに子どもの自殺が増えています。警視庁によると、2020年は前年を25%上回る小中高生が自殺により命を落としていると発表しました。これは、1980年以降過去最多の数字。子どもの自殺は新学期に多くなる傾向があります。学校現場においても、新学期は生徒の体調を特に気にしながら業務に励んでいます。しかし,それでも悲しい事件はなお減りません。

旭川で14歳の中学生が雪の積もった公園で凍死するという悲しい事件が起こりました。たくさんの物議をかもしましたが、いじめを受けていたことがわかり、その対応が注目されています。

学校という閉鎖された空間でのいじめについては、昔から何年も問題視されています。しかし未だに解決しないどころか、こうして自殺者増加を引き起こしているのが現状です。なぜこのようなことになってしっているのでしょうか? 

いじめの原因

いじめに対する議論の中で、「いじめられる側にも原因がある」という不毛な意見があります。断言します。そんなことはありません。これは私のいた学校でも全員一致の意見で、被害者を全力で守ることを第一と考えて指導を行います。大抵の場合、空気を読めない相手に対して、ムカツクなどという理由でいじめが起こります。一度リミッターが外れるとそれはエスカレートしていき、止まりません。正直現場にいても、原因は何かと言われるとわかりません。いじめる側の選択の結果としか言えません。いじめのほとんどはいじめっ子の暇つぶしという専門家もいますが、人が人を陥れることが暇つぶしというのなら、止めようがありません。学校では教員の目の届かない場所がたくさんあります。生徒のSOSを見逃すことがないように注意をしていても、いじめ発覚のほとんどは生徒からの目撃証言や本人からの相談です。

 

決して学校現場をかばうつもりはありませんが、日本の学校では生徒の数に対して教師が圧倒的に足りていません。現に文科省が行った「教師のバトン」プロジェクトにおいても、その勤務形態が浮き彫りになりました。教師一人の受け持つ生徒人数が多すぎて、目が届かない状態になっているのです。もちろん問題があれば全力で対応しますが、それが手遅れになるとも限りません。

対処

学校で実際にいじめ問題が起こった際には、当事者のみではなく可能な限りの情報を集め、学校組織全体で対応します。いじめは決して許されるものではありません。どんな理由があろうと人をいじめていいということにはならないからです。社会に出れば、基本的人権を侵せば誰でもつかまります。学校という場所だから”いじめ”という言葉を使っていますが、立派な”犯罪”です。そのことを生徒にもきちんと理解できるように指導します。

しかし、これにはものすごく長い時間を要します。加害者といえど誰かがきちんと正しい道へと導く必要があるからです。学校教育では当事者双方に配慮しながら指導していきます。

いじめは、加害者の選択の結果でしか起こりません。どのような事例でもいじめ以外で解決できる方法は必ずあります。加害者がいじめを選んだだけのことで、いじめの原因について論じること自体がそもそも不毛です。大事なのは加害者がどうしていじめという手段を選んだのか、ということです。そこがわからなければ問題解決にはなりません。

そして、ここで重要となるのが家庭との連携です。保護者にも協力してもらい、学校と家庭の両方で生徒を見守っていかなくては、いじめ問題については解決が難しいです。たとえどれだけ教師が指導をしたとしても、その場しのぎでは意味がありません。家庭に戻ってからも根気よく話をすることで、初めて解決の糸口が見えてきます。

こうして時間をかけて指導していると、また新たないじめが発生する。教育現場ではその繰り返しです。そしていじめには必ずその後が存在します。

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