昔からいじめに関しては、学校でも社会でも問題になっています。長年の課題にも関わらず、解決の糸口は全く見つかっていません。いじめ問題については、人類の永遠の課題であり、解決するというより改善していく、予防していくという考え方の方があっているのかもしれません。
いじめ問題は様々な場所で起こっていますが、とかく学校現場では毎年のことです。残念ながら教員がどれだけ気を配らせていてもゼロにすることはできません。そんな学校現場に勤めていると、いじめの当事者たちに関わる(指導する)機会も多いです。今回は数々のいじめ現場をみて気が付いた、いじめられたことのある人の特徴についてお話ししていきます。
自分が悪いと考えがち
誰かからいじめられたとき、いじめられた経験がある人は
私が悪いからいじめられるのかな
自分が悪いから仕方ないんだ
と考えてしまいがちです。明らかに自分に非がある場合にはそれを改善する努力ももちろん必要ですが、実際には何も悪い部分がないのに自責の念に駆られている人もいます。そのような態度でいじめを受け入れてしまうと、いじめる側の行為をエスカレートさせてしまうことにもつながります。
いじめに関しては、被害者に落ち度があるかないかに関わらず、加害者が一番悪いことに変わりありません。⇨『子どもの自殺が増えている』でも説明していますが、いじめというのは原因がなんであれ、加害者側の選択の結果でしかありません。例え気にくわないことがあったとしても、手を出す必要なんか微塵もありません。「いじめ」という制裁を加える時点で、100%加害者に非があります。
それを知らずに、自分を責めるという行為を繰り返していると、相手の思うつぼです。どんなきっかけや原因があったとしても、”いじめをする方が100%悪い”という前提は忘れないようにしましょう。
人間不信になる
いじめられた経験が一度でもあると、自分以外の人間を信じることができなくなります。いじめられている時は、周りの人間が人間ではないように見えてきます。自分のことを追い詰め、笑い、傷付ける相手に対して、負の感情を持つのは当然です。人の本性を見てしまったように感じる人もいるでしょう。
また、人を信じて裏切られた時のことを考えて恐くなる人もいます。これまで仲良くしてくれていた友人が、自分のいじめをきっかけに手の平を返したように離れていけば愕然とします。そうなれば、裏切られた時の絶望を考えて、今後人を信じることはできないでしょう。
周囲の目が気になる
何をしていても自分のことを笑われているように感じてしまうのも、いじめられたことのある人の特徴のひとつです。自分の行動が周囲に見られている気がする、誰かが世間話していても、自分のことを話しているように感じる、常に笑われている。こんなことを常に感じながら過ごすため、すごくストレスが溜まります。そういった不安な態度をとっている相手を見つけて、新たなターゲットにする輩もいます。一度のいじめが、その後の被害者の生活を脅かすのです。
対面が恐い
対面で人と話すことが恐くなり、二次元やネットの世界に自分の居場所をつくろうとするのも特徴です。ネットの世界では、本当の自分を晒す必要もありません。匿名でコミュニケーションをとることもできるし、好きな趣味でつながることもできます。その世界に慣れてしまうと、外の世界で本当の自分をさらけ出すことが恐くなる人もいます。いざ対面で人と話すと、相手に敵意があるなし関係なく恐怖を感じてしまいます。自分がどう思われているのか、常に人の目が気になるのです。その体験からネットの世界に癒しを求めて、二次元にさらにのめりこんでいきます。
ネットの世界が悪いとは言いません。世界中に自分のコミュニティーを持てるということは素晴らしいことです。しかし、そこで自分を偽っている場合、またはのめりこみ過ぎている場合、現実世界の自分を見失いがちです。そこは注意が必要です。
まとめ
いじめの経験については、大小関係なく誰しもあるものですし、今まで経験がなくても今後ないとは限りません。被害者にも加害者にもなる可能性があります。しかし、誰しもが経験しているのにもかかわらず、被害者側の悲しみやダメージについては、そこまで深く考えようとはしません。もしかしたら過去の過ちやトラウマを無意識に消し去っているのかもしれませんが、それができない人もいます。「いじめの過去」を無かったものとして消し去れる人もいれば、一生消えない傷を抱えている人もいるということをぜひ知っておいていただきたいです。
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