教師の魅力を伝える「教師のバトン」なぜここまで炎上した?

学校

文部科学省は2021年3月26日、「教師」という仕事をSNSでアピールし、その魅力を広めようと「#教師のバトン」プロジェクトを開始した。しかし、いざ始めてみると現場の教師から発信されたのは過酷な労働条件や勤務実績の嵐だった。土日出勤は当たり前残業が月100時間を超える年休は基本的に棄てているなどなど・・・。とても魅力的に感じることなどできる内容ではなかった。教師の労働に関する否定的なツイートが集中し、ついには”炎上”案件としてテレビでも報道されるほど注目されてしまいました。注目度だけをみるとプロジェクトは成功?なのかもしれません。今回は実際の現場を知るものとしてこの炎上はなぜ起こってしまったのかを考察していきます。第一弾の炎上は教師のバトンまとめにあるので良かったらのぞいてみてください。

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まとめ②はこちら

広報の狙い

現場の人間としては、文科省の狙いは進行中の「働き方改革」をアピールしたかったのではないかと思います。学校の職場環境の改善やICT(情報通信技術)の効果的な活用方法をTwitterで発信してもらうことで、全国の取り組みや学校現場の改革を広く社会に知ってもらい、今後教職を目指す人に役立ててもらおうとしたのでしょう。しかし蓋を開けてみると開始一週間を過ぎるころには現場の悲痛は声がたくさん投稿され、現場の厳しい状況を訴える教師の書き込みが目立ち、教師を目指す人材を確保しようというプロジェクトの趣向としてはまったくの逆効果となってしまいました。

実際のところ、今まで教師の過労死ライン問題などはメディアでも取り上げられていました。過労死ラインを越えて働く教員は小学校で3割、中学校で6割という調査結果もでています。(実際にはこれ以上だと思いますが)文科省としても現場の厳しさは認識していたはずなのになぜこのプロジェクトを開始したのか私としては疑問でなりません。こうなることは必然だろうと現場の誰もが思っていたはずです。現場の先生方にも、生徒に教員志望の子がいると、応援するか迷うという人がいます。苦労するのは目に見えているのに背中を押すことができないと悩まれていました。教え子が教師になるまでにはこの環境を改善すると意気込んでいましたが、それもなかなか時間のかかることです。それを考えると今回のプロジェクトは教員の労働条件を見直す良いきっかけになったかもしれません。

採用試験、倍率低下

全国的に、近年の教員採用試験の倍率は低下傾向にあります。職場の人手不足はさらに加速化し、対策を急がれる事態となっているのが現状です。採用試験の倍率低下に関しては有識者会議でも厳しいという認識を持たれています。委員から「優秀な学生ほど教師を避ける傾向がある」という意見が聞かれるようになるほど、労働条件の劣悪さは周知の事実だったのです。教師の魅力をアピールする前に現場の改善をしなければならない。もちろん改善は検討されましたが、その前進となる教員勤務実態調査は2022年に実施することとされていました。つまり、改善するための調査もされていないのに今回のアピールプロジェクトが開始されてしまったのです。個人的には今回の#教師のバトンで集まった投稿を調査対象としてまとめれば、2022年の調査は不要な気もします、現場の嘘偽りのない素直な声ですからね。

伝えたかった教師の魅力

教師の働き方改革がもっと早く進んでいたのなら#教師のバトンで投稿されたのは教師の魅力だったかもしれません。「子どもの成長を身近で支える喜び」「卒業生を送り出した時の嬉しさ」など教育現場では一般の職業ではなかなか味わうことができない感動を経験することができるのは本当です。勤務の厳しさは確かにありますが、やりがいは計り知れません。Twitterの教員をやめたという人の中にこんな投稿がありました。

教員になったことは後悔していません。卒業生を送り出した時の感動は一生忘れません。

まとめ

本来、教育の場では生徒と教師のドラマのような感動エピソードがたくさんあります。そのたびにこの仕事をしていて良かったと思うのです。それまでの苦労も生徒の「ありがとう」という一言で報われることもあります。それだけ素敵な職場でなければいけないとも思っています。今回の炎上は起こるべくして起こった炎上であると思いますが、単なる「炎上」や「捌け口の場」で終わるのではなく、学校の働き方改革を進めるいい火付け役となってほしいと思います。

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