安定期でも無茶は禁物?死産の危険性[前編]

看護師

若い時は赤ちゃんが生まれることを”凄いこと”としか思っていませんでしたが、今では妊娠自体が本当に奇跡だと感じます。赤ちゃんが生まれてくることが決して当たり前のことなんかではなく、その過程にも様々な奇跡があります。最近では不妊治療をする方も増え、SNSなどでも情報を発信してくれる方が増えました。その不妊治療の投稿を見るたびに、妊娠は本当に大変なことだなと思います。しかし、妊娠したからといって安心することはできません。出産しても産声が上がらない場合や、悲しい出産の現実もあります。

今回は、赤ちゃんの流産・死産の原因や確率についてご紹介していきます。 

死産とは

死産と流産ってどう違うの?

流産のイメージがわく人は多いと思いますが、死産についてはどういったものなのかよくわからないという人も多いと思います。死産とは赤ちゃんが亡くなった状態で産まれることを言います。お腹の中で亡くなった場合を「死産」、出産後に亡くなった(産後7日未満)場合を「早期新生児死亡」と言います。

死産は法的に妊娠12週未満と定義されていますが、一般的には妊娠12週以降22週未満は「後期流産」と言われております。

妊娠22週以降を「死産」

と定義していることが多いです 

確率

あまり知られていませんが、流産については全体の約15%の確率で起こるため、決して珍しいことではありません。そのほとんどが胎児(受精卵)の原因であり、お母さんが何かしたから流産してしまったということは限りなくゼロに近いです。

一方で死産については統計からすると100人に2人ほどの確率と言われています。昔はもう少し割合が高かったようですが、時代の経過とともに減少傾向となっています。栄養価が高い食べ物が手に入りやすくなったことも死産減少の要因かもしれません。

自然死産のうち、6割ほどが妊娠12週から19週で死産となっており、妊娠後期になると死産率はぐんと下がります。

妊娠22週以降の死産に

ついても、年々減少傾向

にあります。

原因

死産の原因については、わからないことがほとんどです。あまり無茶をしないように安静にしていても死産になることもあれば、毎日運動して体を動かしていても特に問題ないという人もいます。

これだけ医療が発達している

のに原因がわからないの?

死産については、亡くなった赤ちゃんの詳しい原因を調べるために解剖する必要があるのですが、多くの家族はその解剖を望むことがありません。悲しい気持ちの時に、なかなか我が子を解剖するという気持ちになれないのも無理はありません。そのため、多くは”原因不明”と処理されることが多いようです。

判明している原因については、赤ちゃん側とお母さん側の二つに分けることができます。

赤ちゃん側

染色体異常

感染症(トキソプラズマ・風疹など)

胎児の形態異常(心奇形など)

臍帯異常

臍帯下垂・脱出

臍帯とは、赤ちゃんのへその緒のことです。赤ちゃんがお腹にいる間は臍帯と胎盤がつながっており、お母さんから必要な栄養をもらったり、酸素をもらったりしています。出産の際、通常はお母さんの子宮から出てくる順番は「赤ちゃん」⇨「へその緒」⇨「胎盤」になります。しかし、へその緒が赤ちゃんよりも先に下りてきてしまうことがあります。

破水前のこの状態を

「臍帯下垂」といいます

この状態から破水し、実際に子宮から臍帯が出てきてしまう状態のことを「臍帯脱出」といいます。出産時に先に臍帯が出てきてしまうと、赤ちゃんが産道を通る時に臍帯を押しつぶすような状態になります。すると臍帯が圧迫されてしまい、赤ちゃんへの酸素供給ができなくなります。これにより、赤ちゃんが危険な状態にさらされます。

妊娠後期に内診や超音波検査によって「臍帯下垂」がわかった場合は、帝王切開になることが多いです。 

絨毛膜羊膜炎

細菌が膣から子宮内に入ることで感染してしまいます。症状が進むと炎症性サイトカインという物質が活性化し、子宮収縮などが起こり、早産につながってしまいます。

これらの他にも、血栓などの血液凝固異常、Rh血液型不適合妊娠、胎児水腫など死産の原因は多岐にわたります。

tami
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⇨【後編】

では、お母さん側の原因に

ついて紹介しています

 

 

 

 

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