近年の教員不足解消に向けて、ついに文部科学省が動き出しました。今まで教員免許には10年の有効期限を設け、更新の際には30時間の講習を受けることを義務付けていました。しかも受講料の3万円は教員の自腹です。この悪しき制度ともいえる「教員免許更新制」が、ついに廃止されるというのです。政府関係者の話によると、今夏にも教育審議会に示し、来年の通常国会で廃止に必要な法改正を目指すそうです。
この制度は2009年度に導入されましたが、これまで幾度となく問題視されてきました。まず、更新の際にかかる費用が全て自己負担なこと。これに関しては、国から強制されているものなのに、教員の自己負担なのはおかしいと長年言われてきました。実際現場の先生方も、「3万円は少しつらい」と負担に感じている様子でした。決まっていることだから仕方ない、と教員特有の同調性を表すものの、やはりおかしいのではないか?と感じる人が少なくなかったそうです。
このニュースを受けて、
免許更新がないと、
不適切な教員を
辞めさせる
ことができない
のではないか?
と考える人もいるようですが、これは間違っています。そもそも「教員免許更新制」では、不祥事予備軍の教員を見つけることも、その教員たちの免許を失効させることもできないからです。一般が思っているような、不適格な教員を除外するための制度ではないことをご理解下さい。
今回の制度廃止に対する問題は、もっと別のところにあります。それは教員の人手不足です。そもそも今回の制度廃止の裏には、教員不足を解消しようという考えがあります。育休などの理由で現場を離れている人が、免許更新ができなかったことを理由に教職を離れることもあります。免許更新がなくなれば、そうした人がまた現場に戻ってくれるようになるのでは?と考えているのです。
しかしここには大きな問題があります。それは、人手不足解消を現在の教員で補おうとしていることです。人手不足の大きな要因は、新しい教員が入ってこないということです。毎年教員採用試験の倍率は下がり、教員を志す若手も減ってきています。それは、教員という仕事に魅力がないからです。⇨[教師のバトンプロジェクト]でも浮き彫りになりましたが、今の現場は悲惨な状態です。とても新しい世代が希望を持って就きたいと思えるような場所ではありません。
更新制を廃止し、教員の負担を減らすことは人手不足の一歩前進かもしれませんが、まだまだこれだけでは焼け石に水だということを忘れてはいけません。今後も教員の労働状況の改善に向けて動いていかなければ、根本的な解決にはならないのではないでしょうか?
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