学校現場で初めて出会った、トゥレット症について【前編】

学校・教育

学校現場で働いていると、毎年たくさんの生徒と出会います。明るい子、活発な子もいれば、じっとしていられない、喧嘩っ早い子など様々です。学校の学力レベルによって、進学校、困難校などの振り分けがされますが、私の勤めている学校は定員割れする困難校の分類です。こういった学校では、いわゆる”グレーゾーン”と呼ばれている生徒が多く在籍しています。特別支援学校に行くほどではないが、普通校で周りと協調する能力は持っていない。”グレーゾーン”の生徒はそんな特徴を持っています。障がいがあり病院に通院している、症状を抑えるために薬を服用している生徒もいますが、基本的には外見から判断しずらい症状に悩んでいる場合が多いです。

そんな学校で指導するようになってから、初めて知った病気が【トゥレット症候群】です。”チック”と言えばわかる方もいるかもしれませんが、突然体が動いたり、意に反して大きな声が出たりする”チック”の中で最も重症なのが【トゥレット症候群】です。なかなか珍しい病気のため、医療業界でも知らない人もいるぐらいですが、若者の間で世界的に人気なアーティスト”ビリー・アイリッシュ”がこのトゥレット症であることを公表したことにより、病気のことを知っている方も多いのではないでしょうか?

今回はまだまだ理解されていないトゥレット症候群についてお話していきます。

症状

特徴のある症状としては、激しいまばたき、首振り、腕振り、顔のしかめなどがあります。これらは人やモノに触るといった動きとして起こる「運動チック」と言われます。また、叫び声、咳払い、奇声、同じ言葉を繰り返すなどの「音声チック」もあり、これらの特徴は本人の意に反して出てきます。

自分でコントロールができないため、周囲の視線が気になり、電車やバスの公共交通機関を利用できないという場合が多いです。また、買い物に行くのが困難であったりするので、日常生活に大きな支障が出てしまいます。

症状を抑える薬も

あります

なるべく日常生活に支障が出ないように、症状を抑える薬はありますが、あくまでも抑える程度です。完全に症状を無くすことはできませんし、今のところ完治する方法もありません。日によって症状の重症度が変わり、調子の良い日、悪い日、というものが存在します。症状が重いと外出することもままならないため、本人やその家族の悩みが表に出てきづらい、実態が掴みにくいという課題があります。

また、〇〇してはいけない、と思えば思う程症状が出てしまい、本人の意識とは関係なく体が動いてしまいます。

原因

脳の障がい、というふうに考えられていますが、いまだに十分にわかってはいません。大脳基底核の部分になんらかの異常があるのではないかといわれており、この部分はLD(学習障害)、ADHD(注意欠如多動性障害)、強迫症などの障害にも関わる部分です。トゥレット症の人は上記の症状に加えて、発達障害や自閉症などを併発する場合が高いです。

私が出会った生徒は強迫観念が強かったため、不安なことやわからないことがあると同じ行動を繰り返してしまう傾向にありました。基本的には本人の意識ではどうにもならないため、症状が落ち着くまで待つしかありません。

幼少期に発症して、成長と共に症状が改善されていくそうですが、その生徒の場合は環境が変化するたびに症状が悪化し、日常生活が難しい時期もありました。家族の方は、子どもを特別支援学校に通わせることを嫌がっていましたが、現場の人間からすると、支援の整っている環境に通わせた方が本人のためになるだろうな、と感じていました。

先天性のもの?

トゥレット症候群については先天性のものと思われがちですが、生まれてすぐというより小学校ぐらいから症状が出る人が多いです。これまでの研究データから、発症したほとんど(2/3)が成人までに症状が改善されていくことがわかっています。しかし、子どもの頃に症状があったけれど成長とともになくなり、20代後半になってからまた再発したというケースもあります。

ストレスや環境の変化が

再発の原因となります

また、環境の変化による症状の悪化などもありますが、精神的なものに直結しているということが指摘されています。トゥレット症については脳の伝達機能の異常とされていますので、その時の精神状態が症状にかなり関係してきます。

tami
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⇨【後編】では、

確率や治療法について

まとめています

 

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