学校現場で使える、生徒指導しやすくするためのコツ

学校・教育

 

学校現場において、生徒指導の悩みというのはどの教員にもついてまわるものです。特に悩みやすいのが生徒との距離感ではないでしょうか?生徒との距離感を保つのに重要なのは【言葉】です。

「ヤバイ」「ムズイ」「マジかよ」学校現場にいるとこんな言葉が頻繁に飛び交っています。主に生徒の中で行き交う言葉ですが、厄介なことにこれが教師にも浸透していきます。生徒と接する機会があればあるほど、こういった言葉遣いをする生徒に慣れ、いつしか自分も「ヤバイ」などという言葉を使っていることも珍しくありません。生徒と教師は同じ環境にいますが、決して同じ立場ではありません。それを忘れて生徒と同じような言葉遣いをしていると、いつしか自分の立ち位置がわからなくなってしまいます。言葉は行動になり、習慣になります。同じ環境にいるからこそ、教師という立場を強く意識し、生徒と接する場面では言葉遣いに特に気を付けたいものです。

今回は、学校現場で保健体育教員として生徒を指導した経験を基に、生徒に対する教師としての接し方のコツと失敗談から学んだ経験についてご紹介していきます。これから教壇に立たれるという方や、今の学校現場で指導方法について悩んでいるという方の参考になれば嬉しいです。

生徒との距離感

生徒指導に悩んでいる先生方のほとんどは、生徒との距離感に違和感がある方が多いです。学校現場という同じ環境にいるからか、生徒と教師は同じ立場、または友達のように接してくる子も少なくありません。そうした時に、向こうの空気に流されて友達のような関係性になるか、立場をわきまえた関係になるかは教師の接し方によって左右されます。現場では、若い先生ほど友達のようになりやすいから気を付けるようにと管理職から言われますが、私は年齢は関係ないと思います。現に、学校現場では年齢関係なく生徒との距離感を上手く保たれている方はいらっしゃいました。そして勘違いされやすい点として、生徒がフレンドリーだから距離感が近くなると思われがちですが、そうではありません。問題は教師側の態度にあります。生徒に対する態度、特に言葉遣いにポイントがあると考えます。

生徒に対する言葉遣い

社会人であれば、どんな相手だろうと正しくて丁寧な日本語を話します。例えば、店舗で接客をしてもらう時、自分が未成年でも店員さんは他の顧客とどうように自分のことを扱ってくれましたよね?社会に出ると、フランクなコミュニケーションの場なのか、そうでないのかは明確に分けるスキルが磨かれます。特に意識していなくても、これができるようになるから不思議なものです。

一方で、教員はこれができている人が極端に少ないです。もともと大学からそのまま教員になり、社会経験が少ないことが原因かもしれませんが、社会人にしては言葉遣いや態度というのが洗練されていないと感じる場面が多いです。それは“教室”という学校現場特有の環境が関係しているかもしれません。どれだけ新人だとしても、教師として教室に入れば生徒たちは自分のことを“先生”と呼びます。スキルや経験を積み上げている途中だろうと関係ありません。彼らからしたら他の教員と変わらない“先生”なのです。そうした時に、「指導する立場=上の立場」と勘違いをして、生徒に対して疎かな態度をとってしまうと問題が起きやすくなりがちです。 

生徒の心情

自分に対して疎かな態度をとる教員に対して、生徒はどのように思うのか?簡単です、同じように教師を疎かに扱います。わかりやすい態度としては、「うざい」「うるせえ」というような俗にいうなめた態度をとるようになります。自分を疎かに扱う相手のことを、指導者として認める生徒がいるでしょうか?ひと昔前なら、なんだその態度わ!と尻を叩かれて恐怖に従ったかもしれませんが、今はそんなことすれば教師がクビになります。もちろん時代など関係なく、体罰は許されるものではありません。

生徒になめられることは、教師にとって致命的です。自分に非がある場合は特に。いざという時に指導しづらいのはもちろん、普段の学習場面でも授業がとてもやりづらくなります。

ではどうすればいいのか?ここで大切になってくるのが、言葉遣いです。正しくて丁寧な日本語を話し、相手を一人の人間として扱っていることを言葉で示します。“下手に出ていてはなめられる”と思われる方もいるかもしれませんが、自分のことを丁寧に扱う相手に対して、下手に優位に立とうとする生徒はまずいません。それはあなたの思い込みです。例えそうだとしても、そこは生徒の理解が追いついていないか、考え方を間違えているので指導してあげなければいけないポイントです。そういった時には個人の指導ではなく、組織全体での指導が必要になりますので、他の先生方に協力を仰ぎましょう。

生徒の心情も変化しやすいですが、教員の心情も忙しい時期などに崩れやすいです。私自身、学校現場で自分の教師の適性について悩んで転職を考えた時期もありました。⇨【教師を続けられないかもしれない、と悩んだ時期に救われた言葉】では、そんな時期に先輩教員から救われた経験を話しています。同じように苦しんでいる方の悩みが少しでも軽くなれば良いと思い書いたので、良かったら覗いてみて下さい。

具体的な使い分け

では、具体的にどういったことに気を付ければいいのか。まず、生徒の使う「ヤバイ」「マジ」などの言葉は決して使いません。学校で同じ環境に長いこといると、ついつい生徒の言葉遣いが移りがちですが、ここは教師である前に社会人として職務中という意識を忘れずに対応しましょう。教師である自分がブレずにコミュニケーションをとっていれば、生徒の問題行動も減ります。もしも、今現在生徒との距離感に悩んでおり、いきなり変えることが難しいという場合には無理する必要はありません。それは生徒も同じです。場面が変わるタイミング(進級)、メリハリが必要な状況(学校行事)などを利用して、徐々にコミュニケーションを変えていくと生徒もついてきてくれるはずです。生徒と近い存在で見守ってあげたい、という気持ちがあるかもしれませんが、フランクな言葉遣いが近い関係というわけではありません。同じ環境でも違う立場から見守る難しさはありますが、まずは自分から態度や言葉遣いを見直してみてください。 

フランクに接した結果

若手の頃、歳が近いということで生徒がフランクにコミュニケーションをとってきてくれることがありました。その頃の私は、生徒と近い存在にいることが嬉しくて、生徒の言葉遣いや態度に甘い部分があっても対して気にしていませんでした。しかし、その生徒が指導対象になるような行動をした時、このコミュニケーションが間違っていることに気付かされました。私の指導が生徒にまったく響かなかったのです。日頃信頼を培ってきたと思っていたのは私の勘違いで、私はその生徒に完全になめられていただけでした。もちろん生徒をきちんと指導することができず、先輩教員が私の代わりに指導してくれました。あの時、生徒とのコミュニケーションの取り方を間違えていることに気が付き、その後先輩教員からの指導で自分の考えを改めることができました。生徒は距離が近い存在を必ずしも信頼しているとは限らず、「信頼=距離感」ではないことを理解しました。教員としてのスキルを磨くことを疎かにし、生徒に対して間違ったコミュニケーションをとった結果、後には何も残っていませんでした。自分の教員としての自信のなさから、手軽に信頼を得ようとした愚かなやつということを、生徒もわかっていたのかもしれません。教師としてどうあるべきなのか、今一度考える良いきっかけになりました。

⇨【生徒を泣かせてしまった授業】ではリアルな生徒対応について書いていますので、良かったら参考にしてみてください。

まとめ

生徒への態度、特に言葉遣いを意識するようになってから、現場での指導は劇的にやりやすくなりました。気付いてからすぐに実行できたわけではありませんが、徐々に意識して慣らしていくことで、生徒の私への態度も変わったように思います。自分のスキルに自信が無い時、話術でどうにかしようとする時もあるかもしれませんが、コミュニケーションというのは取り方を間違えると、立場をあやふやにさせてしまいます。生徒の距離感を見誤ることなく、立場を理解するためには、日ごろから言葉遣い(丁寧な日本語)に気を付けることが一番効果的です。

生徒指導というのは一時のことではありません。日ごろからどのように接するのかで、肝心な時に的確な指導をすることができます。生徒指導で悩んでいるという方は、まず自分の言葉遣いから見直してみてください。

tami
tami

学校現場の実態、

⇨【危険な職場環境】

についてもまとめて

います

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