病める看護師~多忙な業務~

看護師

看護師の業務は多岐にわたり、その仕事は常に命を預かっているため何をするにもプレッシャーがある仕事です。一年間で労災認定されている人の数は、教員を抜いてトップに君臨しています。そんな看護師さんのうつ病になった症例と、その経過についてお話しします。

30代女性(看護師)

病院勤務で、即日入院などが非常に多い現場で働いており、定時に帰れることはまずない職場だった。大変忙しい科に配属され、勤務中も昼食をとるのがやっとな状況。結婚して二人の子どもを持つため、夜勤などは避けることができたが、それでも医療の勉強のためにプライベートの時間を割いていた。休日でも自己啓発のための勉強をし、非常に熱心な看護師であった。

生育・生活歴

出生、発育、発達に問題なし。精神科遺伝負因はなし。高校卒業後看護学校へ進学。看護学校卒業後病院ICUで勤務するが、人間関係のストレスで退職。その後結婚して二人の子どもを授かる。子どもが落ちついたため職場復帰。その5年後にうつ病を発症する。 

現病歴・治療経過

4月に新人看護師が職場に就職し、新人の指導員を担当することになる。その年の11月には指導に加え、看護発表に向けての準備が重なり忙しくなる。その頃から「同僚が何を話しているか気になる」など周りの目や会話が気になり始める。そして「夜中途中で目が覚める」や「疲れやすい(朝)」などの身体的な症状が出始める。業務終了後に看護師長に相談するようになり、心配した師長の紹介で11月精神科を受診する。

気分の落ち込みのほか、不安・焦燥感を認めたため、薬物療法開始。また、職場の上司に症状、経過について説明し、仕事量を減らす調整を依頼。しかし、看護師という激務に加え、対人関係に気を遣う性格や、交代勤務により服用時間が不規則になっていることで薬物療法の効果が得られず、症状はよくならなかった。そのため、初診の翌年5月より休業することを決断

休業することで症状は軽減したものの、日中一人になると不安・焦燥感が襲って外出できない。夫が仕事から帰宅すると泣いて不安を訴える。夜中は熟睡できないなどの不安定な状態が続いていた。6月、母親に付き添ってもらい受診。「必ず症状はとれるので心配しないこと」と説明され、「本人の不安を軽減するような対応をとること」などの協力を家族に依頼。その後も薬と家族の支援を続け、11月ごろより家事をする余裕が出てきた。少しずつ行動範囲が広がり、翌年には焦燥感などの症状も落ち着き、日常生活に支障がなくなってきた。看護師長と業務について話し合い、現在復職準備中。

まとめ

看護師は、交代勤務や不規則な勤務形態から生活リズムが乱れがちです。生活の乱れは心身の乱れにつながり、自律神経などが上手く働かなくなることで体調不良になります。また、献身的な姿勢、冷静な判断を求められる職場では、心身共に非常に強いストレスがかかります。さまざまなストレスが重なり、精神的不調をきたした場合、医療ミスなどを起こす危険性も高まります。看護師業務というのは無理をしがちですが、それは間違いです。自分の体をよく観察し、無理が出ていたり、気分が優れない場合はすぐに上司に相談しましょう。そもそも夜勤などの勤務形態が向いていない人もいます。私の同僚にも、どうも体の不調が治らず、夜勤を止めたとたんに症状が改善された人もいました。人には向き不向きがあるのです、それはなんらおかしいことではありません。自分の体に目を向けて、症状が出ていれば早期対応をしていきましょう。

tami
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