⇨【⑥手術後の入院生活】では、痔ろう手術後のお尻のケア方法や排便方法についてご紹介しました。最後に、痔ろうになりやすい人の特徴を紹介し、自分に当てはまるかもしれないと感じた方には予防法も参考にしてほしいと思います。今回の手術を通して、本当に”健康第一”だなということを痛感したので、痔ろう予備軍の方にはこれを読んでぜひとも手術を回避してもらいたいと思います。では、さっそくいきましょう!
※痔瘻については自然治癒はありません。前段階である”肛門周囲膿瘍”についても、医師からはっきりと『手術しないと完治はしない』(5才未満の乳児痔瘻を除く)と言われました。お尻に違和感を感じたら悪化する前にすぐに病院に行きましょう。
痔瘻になりやすい人
まず初めに結論を言いますと、痔ろうになりやすいのは
圧倒的に男性です。
これは、痔ろうになるメカニズムが関係してきます。痔瘻というのは”下痢”や”温水便座”の常用によって肛門からばい菌が入り込み、肛門奥の直腸から肛門周囲の皮膚に向かってトンネルができる病気のことを言います。
痔瘻の原因である”下痢”に関しては、女性よりも男性の方が圧倒的に多いため、痔瘻の患者も男性が多いと言われています。事実、私が入院した病院でも、痔瘻患者は圧倒的に男性でした。
引用:マイクリニック大久保HPより
”こうもんいんか”から
便が入り込み膿が
トンネルを作ります
肛門には便を滑らかに排出するための粘液を分泌する穴である“肛門陰窩(こうもんいんか)”というものがあります。下痢を引き起こすと、ここから便が入り込み、膿が肛門周辺に溜まります。その状態を【肛門周囲膿瘍】と言います。今回、私はこの状態になり入院しました。入院費などを詳しく知りたい方は⇨【③入院費用の内訳】で紹介していますので参考にしてみてください。
この肛門周囲膿瘍が進行し、膿がお尻の外に出てトンネルを開通させると”痔瘻”となります。
引用:マイクリニック大久保HPより
段階的には
肛門周囲膿瘍 ⇨ 痔瘻
ということです。
では、女性の場合で痔瘻になるケースにはどんなものがあるのかみていきましょう。
女性の痔瘻
女性の痔瘻に関しては、”切れ痔”をきっかけに引き起こす人が多いです。
切れ痔とは、便秘などにより便が固くなり、排出される際に肛門を傷つけてしまうものです。便秘対策については⇨【便秘解消に効果的な食生活】で食物繊維の効果的な摂り方について紹介していますので、便秘に悩んでいるという方は参考にしてみてください。
私の場合、慢性的な”切れ痔”を持っており、これが今回の病気の原因となりました。
基本的に肛門は細菌感染に強い部分です。しかしどこかに傷があったり、細菌が入りやすい環境になっていると”肛門周囲膿瘍”や”痔瘻”になってしまいます。男性でも、”下痢便ではない”という方は感染リスクがかなり低いですし、女性でも、”下痢便だ”という方は感染リスクが高いです。
肝心なのは
排便習慣!
性別で痔瘻のなりやすさを説明しているサイトが多いですが、実際のところは男女よりも、自分の便がどんな状態か、排便の際に痛みはないか、ということが重要です。今一度、ご自身の便の状態を確認してみてください。
予防法
ここからは、予防法についてご紹介します。
毎日お風呂に入る
⇨【⑥手術後の入院生活】でも話していますが、入浴はお尻にとって非常に好ましいとされています。お風呂に入って体を温めることで血行が良くなり、腸の働きが良くなるだけではなく、細菌が溜まりやすい肛門周りを、清潔に保つことができます。
また、血行が良くなることで筋肉の緊張が緩みます。これによってお尻の痛みが和らぎますので、もしも現在膿が溜まっていることでお尻に痛みを感じている人は、痛みが和らぎますので積極的にお風呂に入ってください。
排便後、お尻を綺麗に
することも大切です。
毎朝の腸の刺激
便秘になると、便が腸内に溜まり、固まって排出されるため肛門を傷つけやすくなってしまいます。そのため、毎日の排便習慣が重要になります。好ましい排便習慣のためには、一日のうちで大腸の働きが最も強いとされる、”起床後”に水分を200ml程度飲んで腸に刺激を与えましょう。
下痢気味の方は
牛乳は避けましょう
朝食後にトイレに行き、排便する習慣を身につけることも大切です。
3分以上りきまない
排便をする際に、あまりりきむと肛門に圧がかかり、充血したり出血したりします。基本的にはトイレに行きたくなってからトイレに行き、スムーズな排便を心がけましょう。時間にすると、便座に座ってから3分程度で切り上げるのが理想的です。
便座でスマホを
いじったりして
長時間トイレに
こもるのはNG!
トイレしながらスマホをいじっているという方、トイレの時間が長ければ長いほどお尻に負担がかかっているので注意しましょう。
長時間同じ姿勢をとらない
長時間座りっぱなしでお尻に圧力がかかった状態が続くと、肛門の充血を引き起こします。時々立ち上がったり、体制を変えることを意識してください。また、立ちっぱなしも要注意です。立っている状態というのもお尻に負担がかかっているので注意してください。
腰を冷やすと肛門の
血行が悪くなるので
冷やさないように!
ようは同じ体制で血行が滞るのを気をつけよう、ということですね。
刺激物は避ける
酒などのアルコール類やコショウ、辛子などの刺激物は肛門を刺激して充血を起こさせます。適度な量を守り、お尻の状態が悪い時には控えましょう。
間違いやすい治療法
痔瘻を始め、切れ痔、いぼ痔の”お尻の疾患”に関しては【お尻の清潔を保つ】ことを重要視されます。術後は特別な軟膏などを塗らなくても、清潔を保ってさえいれば自然に治っていくものです。しかし、やりすぎは禁物です。
例えば、とことん綺麗にしようと必要以上にウォシュレットでお尻を洗ってしまうと、皮膚がただれたりひび割れ(あかぎれ)を起こしてしまいます。
水仕事などで手が
荒れてしまうのと
同じ原理です
基本的に肛門は感染に強い箇所です。綺麗に洗い上げるというよりも、細菌(便)が溜まらないように気を付けることを大切にした方がお尻の環境には良いと言われています。
まとめ
お尻の疾患については、すぐに命にかかわるものではありません。そのため、仕事などが忙しいと後回しにしてしまう方が多いです。どうせ”痔”だし。少し前の私もこんなふうに考えて、慢性的な切れ痔で出血があっても特に気にしていませんでした。結果【痔瘻】になり、10日間も入院することになってしまいました。先生も言っていましたが、出血や痛みは体からの”サイン”です。何かしらの異常が起こっていることを訴えている”叫び”です。もしも今、そういった体からの”サイン”が出ている方は、手遅れになる前に病院に行ってください。第二、第三の痔瘻患者が出ないように心から祈っております。
皆さまの身体とお尻の健康が続きますように。
=== 痔瘻闘病記【目次】===
①痔ろう闘病記
②クリニックから大きな病院へ
③三度目の正直【入院費用の内訳】
④入院準備と手術準備
⑤手術本番
⑥手術後の入院生活
⑦痔ろうになりやすい人と予防法
【特別編】
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