「命の選別?」出生前診断が突きつける難問

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2021年3月、出生前診断に大きな転機が訪れました。22年ぶりの方針転換により出生前診断が一般化するということですが、これが「命の選別」に広がるのではないのかと懸念があります。

新型出生前診断(NIPT)とは、胎児の染色体異常を推定する検査のひとつです。これは採血だけで済むため、妊婦さんの負担も軽く流産の危険性も低いとされています。この検査は妊娠10週頃から受けられ、的中率も従来の検査より高いです。

これまで認定施設では検査を受けられるのは「高年齢(概ね35歳以上)の妊婦」または「過去に染色体に変異のある子供を妊娠した人」などに限定されていましたが、年齢制限の撤廃も議論されています。

無認定施設とは

これまで日本医学会が診断の実施を認定する施設は大病院が主でした。今回の方針転換によってそれらの条件を撤廃し、産婦人科クリニックも正式に診断を実施できるようにしました。その一方で無認定の「美容外科」などでも診療されているのが現状です。出生前診断については、検査したことを知られたくない妊婦が多く存在します。そのため、無認定施設ではその要望に応え個別待合室を完備するなど、他の患者と顔を合わせなくても済むように配慮されているところが多いです。こういった工夫に魅力を感じ、無認定施設で診療を受ける人が増えています。 

不安を煽る施設

無認定施設では、数万円を余分に払えば全染色体を検査できるオプションを付けている施設も存在します。認定施設では3疾患しか検査できないため、このオプションを魅力的に感じる妊婦さんも少なくないでしょう。検査自体のコストはどちらも変わりませんが、妊婦に伝える内容によって価格差をつけています。これを「不安ビジネス」として懸念している専門家もいます。

このビジネスの問題は、数万円という高いオプションを支払うのにもかかわらず、認定施設で受けられる3疾患以外の疾患に対する検査精度がそこまで高くないということです。実際の精度がそこまで高くないのにもかかわらず、妊婦さんの不安を利用しビジネスにつなげていることについては疑問を感じます。 

アフターケア

検査後のアフターケアについても不安があります。多くの無認定施設では、診断結果を非対面で通知するだけです。一方、認定施設では陽性の結果が出た場合は羊水検査などへ進み、その後の相談ができますが、無認定施設ではそうした案内もありません。そのため、羊水検査などで最終的に結果を確定することもなく中断を実行するケースもあるそうです。

tami
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子どもの質を選ぶ行為

胎児を生み、育てていくうえで女性の自己決定権は尊重されるべきです。大変な思いをして育てるのは親であり、他者が口を挟む権利はありません。確かに家庭の事情から子どもに特別なケアをできない場合や、五体満足で生まれてきて欲しいという感情から診断を行うことはなんら不思議ではありません。しかしこうした検査が安易にできて、選別が広がってしまう将来に未来はあるのでしょうか?

選別が当たり前になれば、障害児を生んだら自己責任としてみなされ、社会的な補償を受けられない。医療が「病気を撲滅しよう」とするのと、社会が「この障害がある人がいてはいけない」とするのが同じような思想にならないでしょうか?ひとつの命を選別することは、そういうことだと思います。いずれ中絶するかという決断を超えて、「障害のある人」などといった特定のカテゴリーを末梢しようとする社会につながりかねません。

まとめ

日本では、高齢社会による高額な医療負担への不満から、NIPTへの積極的な普及をという声もあります。社会的貢献の低い障害者の支援制度を減らすことで、社会の医療負担が減るのではないかと考えているのです。不思議なのはこういった人たちがダウン症などの障害児に会ったことがない人たちばかりということです。会ったことも、話したこともないのになぜそのようなことが言えるのか?知らないのに何に恐れているのかさっぱりわかりません。育てる労力が懸念されるのはもちろんわかります。日常のケアは想像を絶する苦労だと思います。しかしNIPTの問題については子供を授かった妊婦さんだけでなく、誰もが考えなくてはいけない問題です。社会の一員として、今後の社会を支えていく若者のみなさんには特に知っていてほしい問題です。 

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