生徒を泣かせてしまったある日の話

学校

学校で働いていると、生徒指導は避けられないものです。遅刻指導から身だしなみ指導、直接指導室に呼ぶことはそんなにありませんが、小さいものだったら毎日のようにあります。その場で先生VS生徒の戦いが始まり、周りの生徒は面白そうに見学している光景はどこの学校でもあるのではないでしょうか?

私が勤めていた学校は、毎年定員割れをしていて数名怪しい輩が入学してくるようなところだったので、毎日のようにバトルが勃発していました。

そんな学校に勤める私が、未だにどうしたらよかったのかわからない、ある日の生徒とのやりとりをお話しします。

 

教室での事件

その日はいつも少し気合を入れて授業に挑む。というのもその日の担当クラスは反応が薄く、基本的に挙手や質問が無いため淡々と授業が進んでしまう子たちだからだ。つまらない授業にならないように、いつもよりテンションを上げて教室に入った。入ってしばらく、後ろの席に座る生徒が机に伏せているのに気が付く。まだ授業は始まっていなかったが、そのままにするわけにもいかないので声をかける。

大丈夫?

・・・。

(無視かい)体調悪いなら保健室行きな?

・・・。

(はい、完全に無視ですね)

じゃあしばらくそこで休んでて

しかたなく前の席の子に話を聞くと、どうやら前の時間からこの状態とのこと。この生徒については人間関係でいろいろあると担任から聞いていた私は、きっとそれ関係だろうとしばらく様子をみることに。

授業が始まり、10分たっても20分たっても机に伏している生徒。授業を進めながらどうしてもその子の様子が気になって仕方がない。周りのクラスメイトもさすがに気になるようで、授業に集中できていない様子。授業も後半にさしかかる頃、このまま授業を終えるのはさすがにだめだろうともう一度声をかける。

調子悪いなら保健室で休んでていいから、

ここだと休めないでしょ

・・・。

(微妙に首をふった?)ほんとにどうしたの?

ちょっと顔見せて?

肩をつかんで上体を起こしたその瞬間、突然ものすごい勢いで過呼吸をおこし、涙しながら顔を覆う生徒。いきなりのことに私も周りもフリーズ。何事だ?と思ったがとりあえず背中をさすりなんとか落ち着かせようとする。しかしいっこうに泣き止まず、過呼吸はひどくなるばかり。これはもう無理だと思い、生徒の一人に担任の先生を呼びにいくよう指示を出す。運よく空き時間で職員室にいた担任は、すぐに教室にきてくれて生徒を保健室に連れていってくれた。その後授業を再開したが、先ほどの衝撃的な光景を目にした生徒たちにはそれどころではない。という自分も、生徒を泣かせてしまったこと、この後のことを考えたらため息がとまらない。授業を終え、思い足取りで職員室に向かいながら先ほどの出来事を思い返し、

(顔をみようとして肩に触れたのがだめだったかなぁ?)

自分の生徒指導に問題がなかったか振り返りながら担任を探すが見当たらず。どうやらまだ保健室で生徒の対応をしているとのこと。とりあえず保健室にいくものの、未だに取り乱している生徒の周りにいっぱいの大人。生徒はこちらに気づいていないようだが、先生たちと目配せをすると、どうやら私はここにいない方が良さそうだ。

(次の授業もあるし任せよう・・・)

頭を下げて退散し、ほとぼりが冷めた頃にまた来ようと退散した。

報告

生徒も落ち着きを取り戻したころ、担任に呼ばれ授業中の様子から取り乱すまでの一連の流れを説明した。どうやら担任も朝から生徒の様子がおかしいと思っていたらしい。生徒の方は落ち着きを取り戻し、担任が理由を聞くと、前日から人間関係で嫌なことがあり、朝から気分が落ち込んでいたとのこと。どうも気分が上がらず休んでいたところ、私に無理やり起こされて取り乱してしまったと話した。ん?どうしようもなくないか?と思いながらも、

声をかけるタイミングが悪かったんですかね?

担任
担任

いや、あの様子だとタイミングとか

関係ないだろうね

そうですよね・・・

とりあえず落ち着いたら話してきますね

担任と原因を探ったが、生徒の気分の問題に指導方法などあるのだろうか?授業中の居眠り?を放置しておくわけにもいかないし、結局二人で悶々とするだけで結論は出せなかった。その後、保健室に行きようやく先ほどの生徒と話すことができた。しかし驚くほど通常モード。もはや授業での出来事は無かったかのようにいつも通りだった。もう大丈夫と笑顔で言われたが、悶々としていたこちらとしてはなんだったんだ、といっきに疲れた気がした。気疲れした自分を慰めながら職員室に戻り次の日の授業準備に取り掛かった。

その後

 

生徒の泣き方から、余程のことがあったんだろうと管理職や主任に説明を求められたが、みんな話を聞いてもよくわからない様子だった。当事者の私にもよくわからなかったので当然といえば当然か。生徒に聞いても“そういう気分だった”で終わってしまい、それ以上の情報が得られなかったので進みようがない。

(気分であれだけ泣かれても・・・)

と思いつつも、これ以上できることはないし、これから注意してみていこうということで話がついた。

大変だったのは校長への説明だ。やれ対応が遅いだの、普段からの生徒理解が無いだの散々な言われようだった。さすがに言い過ぎだろうと思ったが、昔ながらの根性主義のこの人に反論しても話が長くなるだけだとやめておいた。こういうところが最近の若いやつは・・・と言われる原因なのかもしれない。ただ他の先生方は私の対応について責め立てることはなかった。むしろどうしたら良かったのか一緒に考えてくれたので本当に良い人たちだ。

まとめ

この出来事は、普段物事に理由や原因を求める理系タイプの私にとって、今でも解決できていない難問です。この生徒とは、その後廊下ですれ違っても普通に談笑するし、まったくあの日の出来事はなかったかのように接しています。私としては他人をあんなにも泣かせてしまったというかなりショッキングな出来事だったのですが、当の本人は本当に気にしていない様子でした。本当はもっと深刻な何かがあったんじゃないかとしばらく捜査しましたが、結論“気分”でした。何とも言えない感情になりましたが、それ以来あまり生徒の挙動に対して考えすぎないようにしています。教育者としてそれはどうなの?と言われるかもしれませんが、のめり込めばのめり込むほど深みにはまっていくのが教育です。どこかで線を引きつつ、必要な時には力になれる距離にいるのがベストなのかなと今は思っています。すべてのことに意味を見出す必要はなく、問題があった時にすばやく対応できるようにしていれば十分だなと考えるようになりました。

 

生徒指導で悩んでいる先生方、深く入り込みすぎないように、ある程度の距離を保ちつつ生徒と接してみてください。問題に対処することができていればいいんです、生徒を理解しようと頑張りすぎて、先生方がパンクしてしまわないように願っています。

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